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人のからだの設計図  遺伝子について
 
 人のからだの設計図である遺伝子は、父親から引き継いだ遺伝子と、母親から引き継いだ遺伝子の2組(2対)からなります。すなわち、同じからだの部品でも、2枚の設計図があることになります。
 この2枚の設計図のうち、どちらを使うかという点については、からだの部品部品によって異なり、まだ不明の部分が多くあります。
 
 お酒の場合、日本人の10人中4人は、アセトアルデヒドを分解する酵素が 遺伝的に「不完全」、さらに10人中1人は、アセトアルデヒドを分解する酵素を持っていないと説明しました。
 
 このアセトアルデヒドを分解する酵素は、正式には ALDH2(アルデヒドデヒドロゲナーゼ)とよばれ、その 設計図である遺伝子には、通常型の ALDH2 *1(スターワン)と、酵素活性が低い遺伝子 ALDH2 *2(スターツー)が存在します。このように、同じからだの部品の設計図(遺伝子)が 複数存在することを、遺伝子多型と呼びます。
 
 2枚の設計図、すなわち両親から引き継いだ遺伝子が ともに *1であると(*1/*1と書きます)、ALDH2が十分に作られる、俗にいうお酒が飲める人です。遺伝子の1つが *1、もう1つが *2である場合は(*1/*2)、遺伝的に ALDH2の量が不足気味で、お酒がちょっとなら飲める人、ともに *2である(*2/*2)と ALDH2を持たない、お酒が飲めない人となります。
 
 なお、実際に持っている設計図である遺伝子のパターン(上でいう *1/*1、*1/*2、*2/*2など)を 遺伝子型(genotype:ジェノタイプ)、それを もとに作られた からだの部品そのもの(上でいうALDH2)の機能を 表現型(phenotype:フェノタイプ)と呼びます。
 
 遺伝子型と表現型の概念は重要です。一般に 「遺伝子がすべて」と思われがちですが、実際は 多少の遺伝子の変化があっても、機能的には 問題が無く 実生活には影響がない、すなわち遺伝子型が正常型でなくとも 表現型としては正常である場合も多いのです。
 
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