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薬の代謝酵素CYP 個人差と飲み合せ 薬を代謝する酵素CYPには 個人差があります。 お酒を分解する酵素が、不十分あるいは無い人がいるように、薬の分解酵素であるCYPも、不十分(低活性)な人や無い人(欠損)、そして逆に 多い、あるいは増えやすい人などがいます。 お酒であれば おちょこ1杯で 顔が赤くなるので、その代謝酵素の有無は分かりやすいのですが、薬の代謝酵素であるCYPの有無は、残念ながら 簡単に試してみる、その量をはかってみるというわけにはいきません。 そこで登場したのが 各CYPの設計図にあたる 遺伝子の解析です。1990年代前半からCYPの研究が進んだ背景にも、この遺伝子解析技術の発達が大きく影響しています。 その結果、たとえば、日本人の約5人に1人は 遺伝子的にみて CYP2C19の活性が無いと、また 4〜5人に1人は 遺伝子的にみて CYP2D6の活性が低い、逆に CYP1A2は、3人に1人は酵素の量が増えやすいなど、酵素CYPの個人差は 決して少なくないことがわかってきました。 したがって、同じ量の薬を飲んでも、薬を分解する酵素CYPが 少なければ からだの中の薬の濃度は高くなり、逆にCYPが多ければ 薬の濃度は低くなり、そのため 薬の効果や副作用の出現に違いが現れる可能性があります。 薬の飲み合わせなどが CYPに影響を与えることもあります。 さらに薬によっては、特定のCYPを抑制してしまうもの、増やしてしまう(誘導)ものなどがあります。例えば、喘息などで使用される気管支拡張剤テオフィリンは CYP1A2で代謝されますが、一部の抗生物質には CYP1A2を抑制する作用があるため、一緒に飲むと、テオフィリンの代謝が遅れ、テオフィリンの濃度が高くなってしまい、場合によっては副作用をおこすことがあります。 逆に 胃潰瘍の薬オメプラゾールなどは、CYP1A2を誘導する作用があるため、テオフィリンの代謝が進み その濃度が下がってしまい、その効果が乏しくなってしまう場合があります。 また薬に限らず、たとえば 喫煙などは CYP1A2を誘導する作用があるため、上記同様、テオフィリンの代謝が亢進し 濃度低下をおこし、効果が乏しくなってしまう可能性があります。 <<はじめに戻る からだの設計図(遺伝子について)に進む>> |
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